2010/05/12

課題











  





USC ( University of  Southern California )

先週末、USC ( 南カリフォルニア大学 ) に行ってきた。
目的は、桑田正博先生の講義を受講するため。

桑田先生に初めてお会いしたのが2000年の4月。
クワタカレッジでのコースに参加させていただいたのがきっかけ。
アメリカ行きを決めていた当時、とはいえポーセレンの経験がまだまだ十分とは言えず、
PFM(金属焼付ポーセレン)を、あの桑田先生から学べるというまたとない機会、
ぜひ参加したいと思い、慌てて申し込んだのを覚えています。

私にとって桑田先生は書物の中の人。とても遠い存在の人でしたから、
「海外での生活は素晴らしい経験になるはずだよ、頑張って!」と、
優しく声をかけて下さったこと、とても嬉しかったです。

今回もそうですが、先生からは沢山の事を教わりました。
技術や知識はもちろんなのですが、医療に携わる者としての理念や哲学。
歯科技工士として、一人の人間として、志とその情熱を絶やすことなく努力する大切さ。
限られた時間ではありましたが、 今回も改めて考えさせられました。

当時の自分、そして今。時間の流れと共に、置かれている状況もだいぶ変わりました。
今の自分だから理解できる事もあるし、また見えていなかった新しい気付きもある。
何年たっても、いくつになってもこのような機会には出来るだけ参加したいと思いました。
今、この瞬間の自分にとって必要なことが見えてくるような気がするからです。

一つ心残りなのは...

「その節は大変お世話になりました、またお会いできる日を楽しみにしております。」

お忙しいところご挨拶させていただいたのに、この一行が言えてなかったです。

10年経っても相変わらずな私。次回、お会いする日までの課題です。

2010/05/05

答え
















#15 PFM Crown   Creation CC

人は離乳食を口にする頃から乳歯が生え始め、6歳頃から永久歯に生え変わる。
ぞれぞれ違った歯の形、色、並びを持ち、外見同様それぞれの個性が現れる。
永久歯は基本的に生え変わることがないため、何らかの原因で失った永久歯は、
歯科技工士が作る人工物によって、その機能を回復する必要がある。

世界的に有名な歯科技工士が作り出す人工物は、限りなく本物に近い偽物。

そこにあったであろう天然歯のみが記録していた情報を、
あらゆる角度から考察し模造する。一つ一つ丁寧にカスタムメイドで作り出す。
それぞれに違う天然歯の持つ個性、高い技術力を持ってそれに挑む。
しかし、それも想像の域を超える事はできない。

究極に追い求めても完璧ではなく、その究極が答えでもない。

歯科技工士が100人いれば100通りの被せ物が出来る。
それは経験や技術、志や価値観によって大きく違ってくる。
どこかの歯科技工士が、どんな材料を使い、どんな知識と技術で作ろうが、
それが仮に歯科技工士免許を持たない者が作った歯科技工物であったとしても、
必ずしも間違いではない。

ただ一つ、間違いがあるとするなら、

作り出された人工物によって、
何らかの疾患を発症する原因を作ってしまう可能性がある場合だ。
口の中で機能する人工物は安全であり続ける必要がある。
日本では昔から、知識と技術を持つ者だけが歯科技工を業とすることが認められてきた。
それは長い間、日本国民にとってかけがえない安心感を与えてきた。

一部の心無い人間によって脅かされるのなら、その責任は重い。

患者が心から喜んでくれ、またその歯科医院に足を運ぶ。
一人の患者を何十年にもわたり診続ける、安心して通い続けられる歯科医院。
安心という価値観には永続性がある。

一つの答えなのかもしれない。

2010/04/24

言うは易し 行うは難し
















窓辺に置いてある蘭の花が見頃を迎えた。
蕾が開花し始めたちょうど3ヶ月程前、この “BDA Gallery” も始めた。
とりあえず一年。“言うは易し 行うは難し” まだまだです。

ブログを始める前、[ 歯科技工士 ブログ ]で検索したことがある。
思ってたより沢山の歯科技工士の方々が、ブログを立ち上げていた。
その目的は分からないが、記事の内容や文面に個性が出ていて面白い。
そのとき見つけたブログのいくつかは、今でもちょこちょこお邪魔させてもらっている。

そのうちの一つが スマイルデザイン さん のブログ。

日課のようにチェックしていたある日、
スマイルデザインさんのブログで、うちの記事に対する記事が投稿された。
ここから来てくれた人が殆どだと思うので今更なのですが、ご紹介です。
日々更新されるストレートでわかりやすい記事、世界中からの歯科に関する情報、
ハイクオリティーな写真の数々に、ただただ脱帽です。
歯科技工士以外の方で訪れている人も多いのではないでしょうか。
スマイルデザインさん、これからも宜しくお願いします。

そして、いい機会なので自分の記事も振り返ってみました。

2010/04/12

納期
















#11 PFM Crown   Creation CC

歯科技工士の仕事は、歯科医師からの指示のもと差し歯や入れ歯を作るわけですが、
必ず納品期日というものがあります。それは技工指示書に記されており、
その日までに必ず歯科医院に戻さなければなりません。
患者のアポイントまでに歯科医師自らが仕上がってきたものを確認する時間、
場合によっては調整する時間が必要になってくるからです。

日々、取引している歯科医師の方々から預かるケースに関して、
歯科技工士の方でその量をコントロールすることは出来ません。
ある程度の日数を頂き、その中で仕事を回せるようにスケジュールを立てます。
時期的なものなのか、偶然なのか、仕事が集中することもあり、
納期までの時間が短ければ、断るか、手を抜くか、プライベートの時間を削るか。
当然断ったり、手を抜けば、次の仕事は無くなるでしょうから、
ドクターとの信頼、患者のことを思い、遅くまで働くことが多いのが歯科技工士です。

うちでお付き合いただいているドクターの中に、
納品期日を指定してこないドクターがいます。

はじめは違ったのですが、うちが小さなラボだということ。
全てのケースを私自信が責任もって手掛けている事を伝えてからは、
『 納期については電話で 』 ただこれだけがいつも記されています。

私たちの手元にケースが届いてから、どのような症例で何日ぐらい必要かを確認し、
その後、他のドクターのケースとのスケジュールを調整します。

3、4日すると彼のオフィスの方から納期確認の電話があります。
通常は2週間から3週間。忙しい時期はかなり言い辛いのですが『 4週間... 』
それでもいつも快く了解してくれます。
日々納期に追われている歯科技工士にとってはありがたい話です。

2010/04/01

桜咲く

















Balboa Park in Encino, California

今日から4月。
気持ちばかりが焦っていて、思いが形にならない。

まだ3ヶ月、もう3ヶ月。

まわりの大人たちが口々に言っていた。年を取る毎に時間は短くなると。
若い頃はその言葉の意味が理解できなかった。時間は全ての人に平等なはずだ。
30を過ぎた辺りからその意味がなんとなく分かった。そして焦りに変わった。
年を取る毎に...これからますますそのスピードは加速するということか。
今ならまだできる。無理が利く今しかやれないことが。

新入生や、新入社員が新しい場所で、新しい生活を始めるこの時期。
桜の花が咲き、優しい日差しで溢れ、春の訪れは彩を添える。

生きていくためにこの道を選んだのは18の時。正直、迷いもあった。不安もあった。
慣れないスーツ姿で入学式を迎えた。歯科技工士として生きるために。
外には桜の花が咲き乱れていた。これからの未来を応援してくれているかのように。

あれから...

私の通っていた東京歯科技工専門学校は先月、37期生を送り出し閉校した。
非常に寂しいことだが、歯科技工業界の展望は厳しいという認識が一般的のようだ。
収入や労働条件の悪さ、歯科医師と歯科技工士の間には構造的な問題点も多い。
人としての尊厳を保つことすら難しい職業に、若い人たちは見向きもしない。