2010/01/27

可能性を予知














  
#7 Custom Abutment with Metal Coping
Nobel Biocare GoldAdapt Engaging NobelReplace RP

インプラントのカスタムアバットメントで特に気を使っているのは、
マージンラインの設定位置です。

以前、ビバリーヒルズのドクターとの仕事で、
マージンラインが歯肉縁ギリギリに見えてしまうトラブルがありました。

ビスクトライの時は何も言ってなかったので、その後歯肉が下がったのでしょうか。
マージンラインの設定位置を更に0.5mm深くし(これ以上は無理だった)、
クラウンをやり直す事にしました。

そもそも全周1.0mm歯肉縁下に設定という指示のもと、
模型上ではそのように調整したにもかかわらず、問題は起きました。

ドクターにはそのことを伝え、再調整分とリメイクしたクラウンの分を
請求させていただきました。その後...

仕事は出なくなりました。

フィクシチャーからの立ち上がりの形態(エマージェンスプロファイル)と
マージンラインの設定位置は密接な関係にある。
まず、インプラントの埋入角度や深度を考察し、
理想的なフィクシチャーからの立ち上がりの形態を与え、
その後マージンラインを慎重に設定しています。

ケースにもよりますが、
特に指示の無い場合は頬側は歯肉縁下1.5~2.0mm、
模型よりも多少歯肉が下がっている可能性を考えて設定しています。

カスタムアバットメント単体での試適を行う場合もあります。
歯肉が必要以上に圧迫されていないか、
マージンラインの設定が正しく行われているかをチェックする事ができます。
模型上だけで判断するのは難しいですから。















今思えば、そういった経験が日々の技工に活かされているんです。
請求した事で、トラブルの原因をドクター側に押し付けてしまった事。
間違いではなかったと思っていますが、一人のドクターを失ったのは確か。
かといって、歯科技工士側が責任を負うのも違う気がしますしね。

そうなる可能性を予知し、何か対応できたのではないかと...。