2010/06/09

未経験者
















Model Work for Single Crown

実は、もう辞めてしまったスタッフの作った模型。
出産を期にうちを去ることになった彼女の仕事を、カメラをいじりついでに撮ったもの。
それぞれ違う患者のケース。咬合平面の取り方や台付け、分割、マウントに至るまで、
彼女なりに、とても気を使っていてくれたことが分かる。
忙しい日々の中、丁寧な仕事を心がけてくれていたことに、

今更ながら感謝している。

歯科技工士免許はもちろん、どこかの歯科技工学校を出たわけでもない。
うちに来たときは歯科技工の事なんかまったく知らない未経験者。見習いから...
歯科技工士になりたいという熱い思いは、彼女の作業一つ一つに表れていた。
ワックスアップをし、メタルをキャスト。調整を終えてオペーク、ポーセレンマージンまで。
一通りの流れで任せる事ができた。数はこなせなかったけれど、どれも丁寧に。
おそらく、もう少し時間があれば、ある程度数もこなせるようになってはいただろうし、
単冠ぐらいは任せる事ができるようになっていたかもしれない。

彼女がうちにいた期間は、たったの10ヵ月しかなかったのだから。

この春から、新しいスタッフが増えた。皆、歯科技工未経験者だ。
だから、模型作り一つにしてもどうにも上手くいかないことがある。
そして、どうしたらこんな風に作れるのかと画像を見て盛り上がっていた。

できるようになる。初めは誰にでもあるのだから。

歯科技工免許を持っていても、模型すらまともに作れない歯科技工士がいる。
中国などからの海外歯科技工物が問題視される中、
歯科技工物のあり方、歯科技工士のあり方が問われている。

日々の仕事に追われ惰性で過ごす毎日。
やりがいを見失い、努力する事を忘れ、分かった気になって見切りをつける。
そんな歯科技工士の作り出す歯科技工物が、
無資格者の作るそれよりも優っていると、誰が言い切れるのだろうか。