2010/07/23

感覚

 














#31 PFM Crown     CreationCC

以前、“感覚で決めるのもありなんだ” と記事にした事がある。
というのも、歯科技工の仕事は感覚に頼っている部分が非常に多い。
カンやコツみたいなものはまさにそれで、伝えるのが難しい。
普段から出来るだけ理由付けをし、ポイントや手順を確認する必要があると感じている。

一つ一つ順序立てて、すべてにそうである理由付けを。
感覚やその日その時の気分で二度と作れないような逸品ならあまり意味は無い。

それでも、どうしても感覚に頼っている部分が必ずある。
そのほとんどは許容範囲みたいなものがあって、あいまいだ。
だからこそ、押さえれるポイントや手順、考え方やそうである理由付けは、
普段から意識し確認しておく必要がある。

例えば海外旅行。
あれを持ってこれを持って、無くても良いけどあったら便利かな、とか。
忘れ物のないように何度も確認し、出発ギリギリでバタバタなんてよくあること。
着いてみたらあれだけ確認したのに忘れてきたことに気が付いたり。
重い荷物の中には、結局 一度も着なかった服や余計なものがあったりする。

行きなれた人なら必要最小限のものを手際よく用意し、ギリギリで慌てることも少ない。
現地で調達可能なものもある程度理解しているし、荷物は軽く無駄も少ない。
余裕のある時間の中、さらに充実した時間を過ごせるかもしれない。

何が違うのか。行きなれた人は行く毎に経験から学びその迷いが少なくなる。
必要なもの、必要でないものが頭の中で整理され、その効率は上がる。
それを無意識にできるようになるにはよほどあちこち飛び回っている人だろう。
多くの場合は意識して頭の中で整理する必要がある。
そして必要に応じて水着が必要だとか、カップラーメンをオプションで加えるのだろう。

バタバタした経験だとか、忘れ物をした経験、恥ずかしい思いや苦労。
技工で言うなら指摘されたことや、上手く行かないこと、失敗や焦り。
人それぞれ違うかもしれないが、そこで何か感じることで意識をする。
経験するということは、そこで何かを感じることから始まり、そして学ぶ。
妥協の中でただ数をこなしているだけの経験なら、そこに学びは少ない。
それは毎朝、無意識の中で身支度をし通勤しているようなものだから。
自分が無駄なことをしていたとしても、気付きもしない人もいる。 

辺縁隆線はこう。頬側咬頭はここ。ラインアングルはどう。
迷いながらいじれば時間もかかり、また同じところを何度も足したり引いたりする。
出発前にバタバタとしているようなものだが、何も感じなければ同じことを繰り返す。
その一つ一つの中で押さえるべきポイントや手順を整理し、
反復練習で体に叩き込み、やり忘れや間違いに違和感を感じるようになるまで。
とにかく様々な経験をし、そして考え、学ぶことが必要だ。
それが出来るようになれば上手くもなり効率も上がるだろう。
あれこれ悩むなら、まず一つ一つをクリアに。

感覚で、何となく形にする。
自分の感性、あるいは潜在的な何かに自信があるのなら、それでもいい。
感覚に頼り切らず普段から意識するのか、あるいはしないのか。
行き着く場所が違ってくるのではないだろうか。