2011/01/20

永遠
















今年も蘭の花が咲いている。
よほどこの場所が気に入ったのだろうか。また来年も、期待していいのかな . . . 。

始まりがあれば、終わりもある。

終わりを迎える寂しさを紛らわすために、
“永遠” なんていう言葉が生まれたのかもしれない。

永遠に続くものなどありはしないのに。

時間を感じる事ができて、はじめて永遠を意識することができる。
真っ暗な部屋に閉じ込められ続けたなら、時間が分からなくなるのと同時に、
永遠とは逆の、いわゆる最期の恐怖に襲われることになる。

だから人は永遠を信じ、未来を夢見る。そこに期待ができるし希望があるから。

ただそれは限りなく続くと考えられているだけで、希望的観測に過ぎない。
人類の歴史など地球の歴史に比べたら . . . と言うが、一人の人生などまさに一瞬。
人に夢と書いて儚いと読む。昔の人はすでに気付いていたんだろう。
儚いからこそ、そこに意味があり、生きてきた証を希望や夢に託し永遠を信じてきた。

そして私が生きるこの瞬間。

今の自分だから思うことがある。
偉そうなことを言い、理想を掲げ、 時には馬鹿を見たり、泣きを見ても。
未来の自分が失笑し、周りの大人が飽きれてしまうようなことも。
今の自分が一生懸命に、真剣に向き合っていると言い切れるなら、

それでいいと思う。


歯科技工業界の不満や愚痴を、匿名なことをいいことに公に発信して煽るだけの奴がいる。
そんなことは真っ暗な闇の中、一人叫んでいるようなもの。
その暗闇の中で運良く一筋の光を見つけても、まだそんなことを言い続けるのかと問いたい。
ほっとして、助かりたくなり、叫ぶことさえ忘れて駆け出すのではないかと。
のど元を過ぎれば熱さを忘れるのか、手のひら返したように。

問題提起は必要。だが、マスゴミ同様、
不安を煽り、騒ぎ立て、その責任の取り方すら知らない奴が多いのも事実。

また、ご自身には関係がないのか悠々と構え、
問題を軽視しておられる先達の方々もいらっしゃる。
自分さえ良ければいいのか。そのような方々にこそ業界の未来に目を向けて欲しい。

その発言力を駆使していただけないものだろうか。

志を持った若者たちが、歯科技工という職業に見切りをつけ離れていく。
訳の分からぬ利害関係で小さな希望が潰されてしまうことのないように。

私のような一介の歯科技工士に何ができるのか。

もう5年、更に10年。そんな理想や期待も夢も打ち砕かれ、
理不尽な現実の中で消え失せてしまうのかもしれない。
そして一人、ひっそりと歯科技工をする。自分さえ良ければいいじゃないかと。
そこに自分の生きた証はあるのだろうか。ほんの一瞬の輝きが。

生きるということはそこに希望を見いだし、
無いと分かっている永遠でさえ信じ、夢見て生きるということではないだろうか。

私は日本の歯科技工業界は良くなると信じたいし、可能性はあると思っている。
そして、やりがいのある仕事だと思うし誇りを持っている。
その技術は伝えられ永遠に続くのかもしれない。
ただ小さく細々と弱々しいものになるのか、大きく枝葉が伸び綺麗な花を咲かすのか。

若い歯科技工士には夢を持ってほしい。
そういう環境を整えていくのが周りにいる先達の役割だと思っている。

















今日は、父親の誕生日でもある。

いつの頃からか、父親の存在を意識するようになった。
自らも子を持つ父となり、子が年を重ねるごとに考えさせられる。
迷い、悩んだとき、父親ならどうしただろうかと気が付くと意識していることは多い。

自分の存在が分からなくなり、目的を見失い。反抗する毎日。
全く口を聞かない時期を過ごし、親の期待や思い描く夢を打ち砕き、勘当された。
この道を選んだ時、父に土下座をした。専門学校に行かせて欲しいと。
卒業式には参列してくれた。恐らく父の思い描くものとはかけ離れたその小さな卒業式に。
時間は少しずつその溝を埋めてはいくが、男同士、酒を酌み交わしたことはない。
蟠りがあるのか、少し照れくさいのか。いつかは二人で . . . 。

そんな私も親となり、父親の気持ちが少し分かった気がする。期待をし、夢を見る。

我が子が年頃になった時、『歯科技工士になりたい!』と言い出したなら、
私は恐らくこれ以上ない喜びを感じるのだろう。
自分がやってきたこと、見せてきた背中が間違いではなかったと。

子が親の背中を見て、その道を進む。

長年続けてきた仕事は誰にとっても人生と言っても過言ではない。
それを一番近くにいる人間、我が子が認めてくれるのだ。
ただ、今の日本の歯科技工業界を考えると、素直に喜べない自分もいる。
恐らく反対する。今の歯科技工業界は、そんな業界であることに間違いない。

私なんかがができることなど、たかが知れている。
ただ、これから歯科技工士を目指す人たちにとって、未来や夢を描けるような。
『歯科技工士はいい仕事だよ!』と言い切れるように、今を精一杯生きる。

そして、もし我が子が歯科技工士になりたいというのなら、親として心から喜べる、
そんな業界に変えていくことが、この道で生きる証になるのではないだろうか。

日本の歯科技工業界の永遠を信じ、そこに期待してもいいのかな . . . 。


ありがとうございました。