Disks & Burs for Handpiece
高校を卒業してから、歩み始めたこの道。
あの頃描いた将来の自分に、少しは近づけているのだろうか。
歯科技工士になろう。
大学進学は早くから諦めていた。自分の事は自分が一番わかっていた。
目的も無いのに大学を目指す意味がわからなかった。
学年でも指折りの成績の悪さ、どこかで妬んでいたのかもしれない。
手に職をつける道を選んだ。
手先が特別器用だったわけではない。ただ、絵を書く事は昔から好きだった。
好きな絵を書いていると時間が経つのを忘れた。夢中になれた。
そして歯科技工をしている時も、それに近い。
好きかと言われれば違う。でも嫌いじゃない。
社会に出ると、教わった事の多くは国家試験合格のために必要な事だと分かった。
もちろん知っておく必要はある。しかし、それ以上に現場で学ぶ事の方が多かった。
何度も失敗を繰り返し、叱られ、凹み、悩み、不安になる。
自分だけならまだしも先輩やドクター、患者にまで迷惑をかけてしまう。
プレッシャーは焦りを生み、負の連鎖からなかなか抜け出せない。
誰にでも初めはある。この言葉に何度も救われた。