#15 PFM Crown Creation CC
人は離乳食を口にする頃から乳歯が生え始め、6歳頃から永久歯に生え変わる。
ぞれぞれ違った歯の形、色、並びを持ち、外見同様それぞれの個性が現れる。
永久歯は基本的に生え変わることがないため、何らかの原因で失った永久歯は、
歯科技工士が作る人工物によって、その機能を回復する必要がある。
世界的に有名な歯科技工士が作り出す人工物は、限りなく本物に近い偽物。
そこにあったであろう天然歯のみが記録していた情報を、
あらゆる角度から考察し模造する。一つ一つ丁寧にカスタムメイドで作り出す。
それぞれに違う天然歯の持つ個性、高い技術力を持ってそれに挑む。
しかし、それも想像の域を超える事はできない。
究極に追い求めても完璧ではなく、その究極が答えでもない。
歯科技工士が100人いれば100通りの被せ物が出来る。
それは経験や技術、志や価値観によって大きく違ってくる。
どこかの歯科技工士が、どんな材料を使い、どんな知識と技術で作ろうが、
それが仮に歯科技工士免許を持たない者が作った歯科技工物であったとしても、
必ずしも間違いではない。
ただ一つ、間違いがあるとするなら、
作り出された人工物によって、
何らかの疾患を発症する原因を作ってしまう可能性がある場合だ。
口の中で機能する人工物は安全であり続ける必要がある。
日本では昔から、知識と技術を持つ者だけが歯科技工を業とすることが認められてきた。
それは長い間、日本国民にとってかけがえない安心感を与えてきた。
一部の心無い人間によって脅かされるのなら、その責任は重い。
患者が心から喜んでくれ、またその歯科医院に足を運ぶ。
一人の患者を何十年にもわたり診続ける、安心して通い続けられる歯科医院。
安心という価値観には永続性がある。
一つの答えなのかもしれない。