2010/12/30

来年も
















KaVo FLEXspace     work bench

今日は半日使って年に一度の大掃除。普段から気にはかけてますが、やはり汚れる。
いつも使っている機械類はねじを緩め、普段できないところまで。
手が届くところはすべてきれいにし、今年の埃を取り除く。

この一年の労をねぎらうように。来年もよろしく。

そして、これから近くの居酒屋で恒例の忘年会。
いつも頑張ってくれているスタッフと共に、感謝の気持ちを込めて。
普段たいしたことをしてあげれていない。
今日ぐらいはいっぱい美味しいものを食べて、飲んで。

いい年を迎えられるように。そして、また来年もよろしく。

皆様も、良いお年をお迎えください。

2010/12/29

単純に















#15 Full Gold Crown     Type Ⅲ Gold

歯科技工士の私が、上顎の第一、第二大臼歯(いわゆる上の奥歯)をクラウンにするなら。
その材質は金。迷わずフルゴールドクラウンで作ります。もちろん、私自身の手で。

マージン封鎖性はその他の材質の比ではありませんし、
クラウンそのものは絶対に壊れませんから、耐久性に関しても問題にはならない。
鏡面仕上げされたゴールドは生体親和性も良く、また対合歯にも優しい。
上顎の奥歯はそもそも真正面からでもあまり見えませんし、
大口開けて仰け反る事でもなければまず見えませんから、白くなくてもいい。
しっかりとケアすれば一生ものだと思います。

金は耐食性、耐酸性が優れている事から古くから装飾品などにも多く使われている。
人類が金を手にしたのはおよそ六千年も前と言われ、今もなお、人々を魅了し続けている。
限りある資源と考えるなら、その価値は更に上がる可能性を秘めていますから、
口の中に入れる価値ある材質としての需要は上がるかもしれません。

ここ数年、金は高騰し続けています。
開業当初の5年程前、私が仕入れる18K(カラット)の歯科用金属は$400程度。
先日仕入れた同じ金属が およそ$950。軽く倍以上。

金属が高いからと言う理由だけで安易にオールセラミックを勧めるのなら、
あまりにも無責任過ぎますし、将来性も踏まえた治療であることが医療では絶対条件だ。
補償期間の10年(?)が過ぎれば、患者にも言い訳がし易いのだろうか。
自分が患者であれば何を入れるのかを考えたとき、
歯科医療に携わる人間であれば、ある程度答えは出ているはず。

2010/12/20

潔く
















#29, 30, 31 PFM Bridge    Creation CC

誠に勝手ではありますが、
この “BDA Gallery” 来年一月、丸一年で終了させていただくことにしました。
英語版は、そのまま画像だけの更新になると思います。

私自身としては、よくここまで頑張って来れたという満足感でいっぱいです。
仕事の合間をみては、写真を撮り編集し、記事を投稿する。
毎日更新なされている方に笑われてしまいそうですが、 私にとっては苦労の連続でした。
取り留めのない偏った記事ばかりでしたが、それなりに伝える努力はしてきたつもりです。
仕事に支障が出た事もありました、慣れない事をする物ではないと後悔した事もあります。
とりあえず掲げた目標の一年。なんとかクリア出来そうで、今はただ、ほっとしています。

そして、なにより。

こんなブログに足を運んでくださっていた皆様方、
コメントをくださった方々、ブログがきっかけで出会えた方々。
そういう出会いなくして、ここまで続けられたとは思えません。
『見てます。』の一言がこんなにも嬉しいものだとは思いませんでした。

そして、有り難いものですね。

2010/12/16

三十而立

タイトルにある『三十而立』。これは聖人である孔子の言葉。


吾十有五而志于學、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、
六十而耳順、七十而從心所欲、不踰矩。

私は十五歳のとき学問に志を立てた。
三十歳になって、その基礎ができて自立できるようになった。
四十歳になると、心に迷うことがなくなった。
五十歳になって、天が自分に与えた使命が自覚できた。
六十歳になると、人の言うことがなんでも素直に理解できるようになった。
七十歳になると、自分のしたいと思うことをそのままやっても、
人の道を踏みはずすことがなくなった。           (『論語』・ 旺文社


あの孔子でさえ、四十まで迷いがあったと言える。
三十半ばの私が歯科技工にしてもビジネスにしても、
また、人として生きる上で、迷うのも無理はない。

30代。どうせならこの迷い、徹底的に迷い抜くと心に決めた。

誰しも時間には限りがある。更に言えばその期限は人それぞれ違う。
限りある中で、その瞬間をどれだけ一生懸命生きたのか、
迷いながらでもどれだけ真剣に向き合えたのかで、最期の瞬間に思う事は違う気がする。

必ず訪れるその瞬間、何を思うのか。

生きてきた道のりが未来の自分に間違いなく反映される。

今、どう生きるのか。

一つ年を重ねることの重みを、感じずにはいられない。

2010/12/13

責任
















#3,19 PFM Crown     Metal Coping

最近、うちの仕事の95%はPFM(メタルセラミック)になっている。
望んでそうなったわけでもなく、特に勧めているわけでもない。
以前は15%ぐらいはオールセラミックのケースも手がけていた。
今では1〜3% ぐらいだろうか。

オールセラミックが審美的には有利なのは疑う余地もないのだが、
私の憧れている歯科技工士の方々はPFMとはいえ、素晴らしい審美的回復を実現していた。
そんな歯科技工に憧れた一人なので、いつかは自分もと、どこかこだわってしまう。
色調や強度を考えれば、理想的なポーセレンの厚みが重要になってくる。
支台歯形成にもよるが、最終外形がメタルコーピングからイメージ出来る。
そんなメタルワークがあっての審美的回復であり耐久性でもある。

うちで手がけたケースに関しての保障期間は、一応書面で1年と伝えている。
さらに言えば、一定の条件の下でと付け加えて。
ただ、いかにもマニュアル的で、私自身疑問がある。

一つに壊れた原因の究明は困難だからだ。歯科医師か歯科技工士か。
それぞれの立場を守ろうとするなら、多くの場合は平行線のままだろう。
原因は一つではないかもしれないし、その原因と思われる事ですら一つの仮説に過ぎない。
さらには、患者自信に原因が無かったとも言い切れないのだから。

二つめは前回記事にもしたが、形あるものはいつかは壊れると思っている。
それは明日だろうと壊れないということを保障するのは非常に難しい。
壊れた時にどうするかの保証なのだが、そもそも壊れないように最善は尽くしている。
その保証を示すことに矛盾を感じている。

三つ目は保障期間外なら責任逃れができてしまうということ。
うちの場合、1年の保証と書面にある以上1日でも過ぎていれば、保証対象外。
全額請求しても何ら問題は無い。しかし、そんなライン引きは都合の良い守りでしかない。

2010/12/07

伝える

伝えたい事はあっても上手くまとめ、記事にすることができない事は多い。
もともと文章を書く事も読む事も得意ではない私が、無謀にも挑んだこのブログ。
想像以上に時間をかけて記事を編集し更新しています。

恥ずかしい話、何度も読み直し誤字脱字を確認したり修正を加えているうち、
おおよそ暗記すらしてしまいそうな勢いです。
投稿後に、おかしなところに気が付き、再投稿し直すことなど当たり前。
そんな事を繰り返しながらなんとか更新するのですが、それでもおかしかったりします。

言葉でも文章でも、人に何か伝えるという事は本当に難しい。

しかし、名言と呼ばれるものは、ほんの数行、あるいは一行で人の心を動かす。
元気が出たり、 涙したり、励まされたり、勇気付けられたり。
余計な言葉はいらない。不思議なもので言葉とは飾り付ければ付けるほど嘘臭くもなる。

最近、ある芸人の名言に心打たれた。

初めて彼を見たときの衝撃は今でも忘れない。
とにかく笑った、息ができないくらい笑った。
そして、こんなに笑ったのいつぶりだろう . . . と、我に返った。

不器用でも一生懸命に。

見ているすべての人に、彼は伝えている。
嫌いな人のほうが多いかもしれない。でもそんなこと気にしちゃいない。

江頭2:50 の 名言

2010/12/02

形あるものは...
















#3 PFM Crown     Creation CC

小さい頃、親が大事にしていた皿を落として割ってしまったことがある。
「形あるものは、いつかは壊れる。」小さい頃、そう諭され救われた。

私は人工の歯を作る仕事をしているが、意図せず口の中で壊れてしまうことがある。

ある一人の患者さんで、同じ歯を4回作ったことがある。
いまだにこれという原因がはっきりしないのだけれど、初めての経験だった。

上顎右側の第一、第二大臼歯のPFM単冠のケース。
問題になったのは第一大臼歯。そもそも対合歯とのクリアランスがなく、
ドクターはリダクションコーピングを使ってクラウンに合うように支台歯を再形成。
そして、二つのクラウンは無事セットされたはずだった。
ところが数時間後。患者は慌ててドクターのところに戻って来た。
第一大臼歯のクラウンが破折したらしい。
ドクターから私に直接連絡があり、作り直してくれと言って来た。
リダクションコーピングをリクエストされたケースに関して、
うちでは保証対象外としていることは既に伝えてある。

『すぐにやり直させて頂きます、請求書は改めて... 』と。

2つ目のクラウンはすぐに作り直された。保証外とはいえ、半額だけの請求書と共に。
すると、ドクターから連絡があった。ご丁寧に手紙で。