#14 PFM Crown Creation CC
先日、9月10日は私が初めてアメリカの大地に降り立った日。
と、なんだか大げさに言ってみましたが、丸10年が経ちました。
意外にあっけなくその日は過ぎ、そして11年目に突入。
思い描いてた未来は今よりもっと良い状態だと疑いもしなかった。
アメリカから端を発したこの不景気。私にとっては全くの計算外でした。
医療関係は不景気にも影響されにくいと言われていますが、
最近はなんだか身近にも感じ、正直不安でもあります。
ちょうどその記念すべき日を迎えようしていた先週末、
ある女性のドクターが突然うちのラボを訪れてきた。
どこかで会ったことがあるらしいが、私はまったく覚えていない。
単冠のPFM2本のケースを持参し、このケースをお願いしたいとのことだった。
初めての取引きなので、いくつかの技術的な事を確認し合い、
また、デザインやマテリアルについても話をした。
一通り話を終え、彼女は聞いてきた。
『このケースいくらで出来る?簡単な見積もりが欲しい』と。
そして、徐にリストを見せられた。そこにはこの界隈にある日系歯科技工所の名が。
老舗のラボから有名なラボ、まだまだ順番に回る予定らしい。
要するに気に入らなければ次ぎに行くと言わんばかりの強気な交渉術。
彼女が日本人の歯科技工士をとても気に入っているのは話の流れでよく分かった。
今、取引している日系歯科技工所の名前もいくつか口に出していた。
オーナーは私の知り合いでもある。もちろん、技工料金については知らない。
うちのプライスリストをプリントし、彼女に手渡した。
しばらく眺め、何も言わず他所の歯科技工所のプライスリストを彼女はずらりと並べた。
6枚以上あっただろうか、上は$150前後から下は$60ドル前後まで。
『他所のアメリカのラボはどこもこんな感じよ。平均的だと思う。
日本人の技工士が他所より高いのは理解してる。ただ、知っているとは思うけど、
私たち歯科医院もビジネスは大変なの、いい値段を出してほしい。
このケースはあなたとのはじめてのケースになるのだから』と。